合成開口レーダ(SAR)データを軌道上で画像化する装置の共同開発成果について

2020年 (令和2年) 2月26日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
アルウェットテクノロジー株式会社

 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)とアルウェットテクノロジー株式会社(以下、AT社)は、人工衛星搭載の合成開口レーダ(SAR)データを軌道上で画像化する装置を共同で開発いたしました。

 本装置では、従来は地上の計算機で行っていたデータ処理を、高速処理が可能なFPGA(field programmable gate array)に適したアルゴリズムに書き換えてファームウェア化することにより、世界で初めて衛星搭載用の装置として実現しました。これにより、SAR観測データを軌道上の衛星内で準リアルタイム処理することで衛星からのダウンリンク量の大幅な圧縮が可能となり、現在ニーズが高まっている海域観測や船舶の動静把握への活用が期待されます。

 具体的には、例えば陸域に加え海域観測を行う場合、現在よりさらに多くのデータを地上に伝送することが必要となり、衛星のデータレコーダの容量とデータ送信速度の限界のため観測域を拡大することが難しい点が課題となっておりました。本装置の活用により、SAR衛星による海洋観測データが安定的に利用可能になれば、船舶等の人工物検出といったAI技術と組み合わせることによる新たなミッションの実現など、小型のSAR衛星の需要増も期待されます。

 今後AT社では、小型衛星向けのコンポーネントとして本装置の製品化を、JAXAでは、本技術の大型衛星への実装についての検討をそれぞれ進めてまいります。